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瀬元晴貴 Haruki Semoto |
こんにちは、瀬元です!
最近、SNSやYouTubeを見ていると、
「これ、生成AIで作った映像じゃない?」と思ってしまうような映像がかなり増えてきました。
人物のリアルな質感、独特な表情、映画のようなカメラワーク。
少し前なら「どうやって作ってるんだろう?」で終わっていた映像が、
今では「AIでしょ?」という視点でも見られるようになっています。
今回取り上げるのは、そんなAIっぽさを感じた映像のひとつ。
B子さんの「のび太&ジャイアン&スネ夫 - もらいもん feat.しずか with 出木杉 / THE FIRST TAKE【完全フルver】」
初めて見たとき、個人的にはかなりAI映像っぽく感じました。
でも、映像制作をしている目線で細かく見ていくと、
本当にAIだけで作ってる?という疑問も出てきます。
今回は、この映像がなぜAIっぽく見えるのか、逆にどこを見ると3DCGっぽく感じるのかを考えてみます。
『もらいもん』は、非常にリアルな3DCGでキャラクターや世界観が描かれています。
そして、ここが今回のポイント
動画の概要欄には、
「この動画は3DCG制作ソフトblenderを中心に制作しています」と明記されています。
つまり、少なくとも作品の中心にあるのは生成AIではなく、Blenderを使った3DCG制作ということになります。
では、なぜ僕たちはこの映像を「AIっぽい」と感じるのでしょうか?
① キャラクターの「リアルすぎる違和感」
まず一番大きいのが、キャラクターの質感です。
元々アニメ的なデザインだったキャラクターを、かなりリアルな人間に近い質感へ落とし込んでいます。
肌の質感や髪の毛、服のシワや筋肉、皮膚の凹凸。
こういった要素が組み合わさることで、
「実写なのかCGなのか分からない」という感覚が生まれます。
そして、この「実写なのかCGなのか分からない」という感覚は、最近の生成AI映像にも非常によく似ています。
生成AIで作られた人物映像には、現実には存在しないような人物なのに妙にリアルに見えるものがあります。
この映像も、最初に見たときにはその感覚にかなり近いものを感じました。
② 表情がちょっと「AIっぽい」
もうひとつ気になるのが、キャラクターの表情です。
特に人間をリアルな質感で3DCG化すると、
どうしてもリアルだけど、どこか現実とは違うという違和感が出ます。
これは生成AIでもよく感じるポイントの1つです。
目の動きや口元、表情の変化などが、現実の人間と完全には一致していないように見えるからです。
そのため、この表情、AIで生成したんじゃないか、と思ってしまいます。
しかし、3DCGでもこれくらいの表情は作れると思います。
むしろキャラクターを3DCGとして作り込んでいるのであれば、
表情や動きを意図的にコントロールすることができます。
③ カメラワークを見ると、急に3DCGっぽくなる
個人的に一番3DCGっぽいと感じたのが、カメラワークです。
生成AI映像の場合、カメラが非常にダイナミックに動く一方で、
なんとなく動いているように見えることがあります。
ところが、この映像ではカメラと被写体の位置関係がかなり整理されています。
・人物の周囲を回り込む
・奥行きを使って人物を見せる
・手前から奥へカメラを移動させる
・人物と背景の距離感を維持したままカメラを動かす
こうした動きは、3D空間の中にカメラを配置して撮影していると考えると理解しやすいと思います。
Blenderを使っているのであれば、当然このようなカメラワークをかなり細かく設計できます。
④ 「空間の整合性」がかなり強い
生成AI映像を見ていると、
さっきまで右にあったものが、次のカットでは微妙に位置が違うことや
人物の大きさや背景の形が変わっているといったことが良くあります。
実際に、自分でAI映像を生成するときはそこに悩まされます笑
一方、3DCGでは一度作った3D空間の中に、
キャラクターや建物、車や家具、照明、カメラなどを配置します。
そのため、一度構築された空間は基本的に同じルールの中で動きます。
『もらいもん』を見ていて面白いのは、この空間の一貫性です。
人物だけを見るとAIっぽく感じるのに、
背景やカメラ、人物同士の位置関係まで追っていくと、
ちゃんと3D空間を作って撮影してるんじゃないか、という印象が強くなってきます。
⑤ 光と影も3DCGっぽい
もうひとつ注目したいのがライティング。
人物に当たる光と、背景に存在する光の関係を見ると、かなりCG的な照明設計を感じます。
もちろん生成AIでも非常にリアルな光を表現できます。
ただ、3DCGでは、
ここにキーライトを置く、この方向から光を当てる、背景にこの色の光を入れる
というように、光源そのものを設計できます。
この作品のように、複数のカットを通して光の方向性や空間の雰囲気が維持されている映像を見ると、
生成された1枚の映像ではなく、3D空間を作り、その中で撮影していると考えられます。
じゃあAIは使っていないの?ということですが、ここは少し注意が必要です。
公式には、「Blenderを中心に制作」とされています。
つまり、作品のベースがBlenderであることは確認できます。
一方で、制作工程のすべてで生成AIを使っていない
とまでは、この説明だけでは断定できません。
現在の映像制作では、
3DCG × AI × After Effects × 編集
のように複数の技術を組み合わせることも珍しくありません。
例えば、
Blenderでキャラクター・背景・カメラの制作
→AIで素材作成や補助的な処理
→After Effectsでコンポジット・エフェクト・カラー調整
→Premiere Proで編集
という制作方法も考えられます。
だから「AIか3DCGか」という二択そのものが、少し古くなっているのかもしれません。
⑥結局、この映像はAIなのか?3DCGなのか?
今回の答えはかなり明確です。
ベースは3DCG。
しかも、公式の動画説明欄にBlenderを中心に制作したことが明記されています。
では、なぜAIっぽく見えたのか。
それは、3DCGのリアルさと生成AI映像に共通する違和感がかなり近いからだと思います。
特に、リアルすぎるキャラクターや独特な表情、
非現実的な人物造形に映画的なライティングや高い質感表現
このあたりが合わさることで、AIによる動画生成が発展している今、
私たちはAIっぽいと自然に感じてしまうのかもしれません。
しかし、カメラワークや空間の整合性、光の設計まで見ていくと、
AIが作った映像というより、かなり作り込まれた3DCG作品という見方になります。
映像を見るとき、AIっぽいだけで判断しない
今回この映像を見て改めて思ったのが、
「AIっぽい」という感覚だけでは、もう映像の制作方法を判断できないということです。
数年前なら、なんかリアルだけど変だからAIかな?である程度通用したかもしれません。
でも今は、3DCGのレンダリング技術も、AIの生成技術も、どんどんリアルになっています。
だからこそ、顔だけを見るのではなく、カメラを見る。
人物だけではなく、背景を見る。
一枚のフレームだけではなく、前後のフレームを見る。
そうやって映像全体を観察すると、これはAIっぽいという感覚の正体が少しずつ見えてきます。
そして、今回の『もらいもん』は、
AI映像に見えるほどリアルな3DCGという意味でも、かなり面白い映像作品だと思います。
今後、生成AIと3DCGの境界はさらに曖昧になっていくだろうと思っています。
この映像、どうやって作ってるんだろう?
そういう視点で映像を見るのも、面白い楽しみ方の1つです^ ^
あと歌の内容が良すぎてキャラクター設定とダブルパンチを喰らいます。
他の映像作品も面白いものばかりなので、是非覗いてみてください!
これくらい映像も曲も作れたら、めちゃくちゃ楽しいだろうなと思います。
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Posted by Haruki Semoto
桜島 チーフクリエイター兼カメラマン・ディレクター 瀬元晴貴
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